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東北のいまvol.1 大槌町の福幸きらり商店街
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ここは昨年の12月17日に大槌町の北小学校の校庭にオープンした仮設商店街・福幸きらり商店街。スーパー、お弁当屋、レンタルビデオショップ、電器屋、洋裁店、お菓子屋、自転車屋、美容院、スナックなど、およそ40店舗が入っている。約9割の事業所が被災した大槌町だったが、仮設商店街を機に一部の事業主が店舗を再開した。
オガサワラ写真は町の人が持ち込んだ痛んだ写真の修復。写真の中のキレイな部分を使って思い出の一枚をよみがえらせている。
手作り工房シフォンはチーズパンやシフォンケーキを手作りする。柔らかいケーキ生地には果物が混ぜられていて、この日は生オレンジの酸味が香った。さいきんは宮古や釜石からわざわざ買いに来てくれる人もいるのだという。
さんぷく衣料店は、お祭りのまわしを縫っている。春先には、新しい門出を迎える中学生たちの制服の採寸が始まって忙しくなる……。
NPO法人遠野まごころネットは、買物の休憩やバスの待ち時間に利用できるようにと休憩所を設けた。コーヒーをいただきにいくとなじみらしい人が訪れていた。
日が暮れると明かりがともり、赤い看板の七福では500円で焼き鳥定食を食べさせてくれる。震災前に妹がやっていたお店を続けたいという思いから開店。聞きかじっていたレシピを元に妹直伝のタレを再現した。なじみだったお客さんから「同じ味だよ」と言われたのが何よりうれしかったと話す。
少し離れたカウンターでは男性が2人お酒と焼き鳥、もつ煮込みを食べていた。商店街内店舗のタクシーで家路に着くのかもしれない。
閉店間際に入ったほっかほっか亭で、地元の男性が夕食にとのり弁当を買っていった。カウンター越しの「今日はどう?」の二言三言が交わされる。
オープンしたからといって運営が手放しでうまくいくというわけではなく、課題も少なくないのだろう。でも、ここでは顔が見えるし、何よりも温もりが感じられる。商店街としては、季節のイベントを開催したり、移動手段がない人のために無料の送迎タクシーを出すなどのきっかけづくりで地元の人の来場を促すなどをしているが、このほのかにただよう安心感もまた、地元復興への第一歩なのだと思う。
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