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「葬儀に料金透明化の動き イオンがひつぎ代など明文化」だそうですが・・・

「葬儀に料金透明化の動き イオンがひつぎ代など明文化」という産經新聞の記事が載っていました。

不明朗な状態が続いてきた葬儀の料金を透明化する動きが加速している。大手流通のイオンが葬儀ビジネスへの本格参入にあわせて透明な料金体系を導入したところ、割安な料金設定もあって利用者が順調に増えている。利用者の節約志向も料金透明化の追い風になっているようだ。 (略) イオンの葬儀事業の最大の特徴は、透明な料金体系だ。祭壇設営費、ひつぎ代、生花、遺影写真、納骨容器などの価格をそれぞれ明文化し、その組み合わせによって29万8000円から148万円まで6つのプランを用意した。同時にプランに含まれていない返礼品、食事代、火葬料、搬送費用、マイクロバス費用を含めた葬儀全体の総額の見積書も提示し、料金の透明化を後押ししている。

とのことです。

ちなみになのですが、私の卒論は「お葬式のお値段」をテーマにしたものでした。
卒論を書いた年は、2006年でしたので、2005年くらいの話がベースになっているのですが、ちょうど2004年/2005年は、文藝春秋や週刊文春あたりで、「ぼったくり葬儀屋」の話がよく取りざたされていた時期で、「悪徳業者に捕まって300万円」という極端な話がちまたで出回っていて、シルバービジネスなんて言葉も出て来ていた時期だからでしょうか、その時は「葬儀業界の価格破壊!」なんて形でベンチャー企業の参入もありました。(そして、割と近しいところでも、葬儀関連の企業がいくつかございました)
また、高齢化社会に進んで行く過程で(こんな言い方するのもなんですが)市場がどんどん広がっているということが言われていたのもあるのではないかと思いますが・・・。

で、卒論の関係で色々とヒアリングしていて思ったのですが、
その当時の「高額悪徳」へのアンチテーゼとして「価格破壊(30〜60万円)」というメニューが一人歩きしていた観もあるのですが、結論としては、結婚式と同じようなもので、人によって来客や規模や形式に応じて内容が変わり、それぞれに応じてかかる金額が変わるのは当たり前で、ただ、それが確かに不当に高いケースもあったということですが、葬儀という業態自体が不透明であまり企業努力(=コストカット等)を行われていなかった(または、行いにくい)ために、「正当なのかどうか分からないまま、不当にお金をふっかけられたのでは?」と不安または不満を抱く人が多かったということは実際にあったようですね。

で、実際にもろもろ試算すると、確かに一件あたりの平均は180万円前後は自然と行くような感じではあったんです。
その試算なのですが、(葬儀屋さんから聞いた話ですが)、通常の業者さんだとして、インターネットが根付く前は特に、「葬儀屋さん」というのはすごく地域にローカライズされたもので、(ネットで検索して比較検討するなんてこともなかったので)地元のなんとなく見知っている業者さんといざというときに急におつきあいすることになります。業者さんとしては、「葬儀業者のスタッフは24時間どんな時でも稼働するもので、担当する町でだいたい月に1〜2件くらい。スタッフへの給料などの支払いを考えるとどうしても一件あたりで必要な額はどうしても決まって来る・・・」ということで、帰納法的に1件150〜200万円を「売り上げない」と仕事自体が続けられない・・・というの「も」あったようです。
(葬儀の内容から試算していって足して行っても、平均して確かにそれくらいにはなりましたが・・・)

でも、これが「営業努力」によって、月々にある程度の「数」を確保できるようになれば、コストの割合(主に固定費であるところの「人件費」)を下げる。そのための諸々考えられていた手法が、「ネット戦略で営業地域を拡張する」「共済や互助会」などです。これで、月々の「数」を確保できれば、自然と単価を下げることができるはずです。
(ちなみに上記の300万円は、「営業先」であるところの「警察」や「病院」へのエレベーター寄付や忘年会の景品の提供でかかった原価が、利用者に負担として課せられていた結果だったりするそうです。どーかと思う)

で、今回のイオンが平均180万円のところを、100万円でできるというのは、まさにこれを「実現できた」ということなのだと思います。そして、全国的に「生活の中でなじんでいる」というのもポイントなのだと思います。

良いところに目をつけたもんですね。

ところで、お値段の明確化という意味では、以前は多くの業者さんが何故か、人件費などのコストを「祭壇」にのっけって高額にしているところが多くて、そりゃ発注者にしてみたら「なんでこんな額に?」ともなりますよね。「互助会」とかは「この高い祭壇を共同で購入してみんなで使う」のようなロジックなんですが、人件費はかかるんだから、初めから明記しておけば良いのにね。でも、これが「暗黙的に理解されていた」時代と、宗教的な儀礼から遠ざかっている現代では違うということですよね。(伊丹十三の「お葬式」で戒名の値段についてのやり取りを思い出したりします・・・)

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