ほんの数ヶ月前までフォントの違いに対して、無頓着でした。それが、今、なぜか「文字」に対して静かなるマイブームが起きています。
というのも今、簡単な文字組版をすることがあるのですが、その際、いつも文字周りでうんうん唸ることが多く、模索し、迷走します。
僕は何かをやるときに何かしらの基準軸を設けて、それを振りながら仮説立てし、実行して、反省、修正を加えるというプロセスを経るのが好ましいと思っているのですが、いかんせんフォントに関しては全く持ってどうしようもない状態が続いて来ました。
で、件の本。
そうそうたるアートディレクターのリレー講義を本にしたものみたいで、制作現場からの生の声はもちろん、実際にフォントを作る立場の人たちからの声もとても参考になります。
最終的に、自分なりにこの本を読んで納得した結論は、「フォントはあくまで素材の一つである」。結局、表現したいコンセプトや用途が先にあり、フォントはそれを表現するためにふさわしいものを選ぶべき、ということです。
今までは色々な人が発する、「helveticaが」「新ゴが」「MSゴシックなんて」というような言葉を鵜呑みにしてきましたが、そんなもんじゃないんだなって、よくよく考えればごくごく当たり前の結論に達しました。
(まぁ、ウェブだとシステムフォントが大方採用されるから、フォントなんて、、、みたいに思っていたというのもありましたが。。。)
個人的にはフォントが作られて来た歴史的な背景や、その時代の制作者の思いやストーリーが結構に楽しめました。
そのフォントが出来てきた背景が分かれば、それを一つの基準に据える事ができるなぁということを考え、テンションがあがりました。都度都度色々、調べて行こうと思います。
そういえば全くもって蛇足的な話なのですが、
(別にすべてを検証しているわけではないですが)ここ数年前から講談社の文庫本に読み辛さを感じます。
読みやすいようにとフォントサイズを大きくしたのはまぁいいとして、周辺余白をきちんと取っていないので親指が文字にひっかかる、本文の文字が明朝体なのは良いとしてウエイト(太さ)が若干太くて、長く読むものとしては、目が疲れる・・・という気がします。
別の出版社で、新書を編集者がインデザインで作っているという話を聞きました。スピードとコストの問題なのでしょうが、同様の事が起こっているのかな。。。
もう少し可読性を挙げてほしいところです。
技術の発達は専門性を下げ、そしてそれは良い仕様書に基づけば、うまく作用すると思うのですが、逆も起こりうる、ということですよね。
誠文堂新光社
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